かぐや姫のお話で語られた「不老不死伝説」をご存知だろうか?
竹から生まれたかぐや姫はとても美しく成長し、様々な男性から求婚を受けた。しかし、彼女は月へと帰らなければならない運命…。かぐや姫と愛し合った一人の男は、別れの前に彼女から不老不死の薬を預けられる。ただ、喜びのすべてがかぐや姫への愛だった男は、生きる希望を失って山へ登り、不老不死の薬を焼いてしまう。それから、不死の山(ふしのやま)=富士山(ふじさん)と呼ばれるようになったという説もあるそうだ。
富士山のふもと、西湖のほとりに暮らす少女・葵は、森をさまよい歩いていた少年・蒼太と運命的な出会いを果たす。お互いに“森の精”の声を通して不思議な繋がりを感じ、すぐに打ち解けた二人。楽しい一時はあっという間に過ぎ去ってしまうが…。
湖に花火が上がる夜に出会った二人の物語をそれぞれの視点で描くことで、秘められた真実と芽生えた想いが少しずつ浮き彫りになる、ロマンチックな一夜のファンタジー。